マルモッタン・モネ

パリ郊外、ブーローニュの森に程近いマルモッタン美術館へ足を伸ばしました。

モネファンなら絶対に見逃せないこの美術館。
元々は19世紀の貴族マルモッタンの邸宅でした。
マルモッタン親子が収集したコレクションに加え、モネの息子や縁の人たちから100点余りの作品が寄贈され、今では世界で最も多くモネ作品を収蔵する「モネ美術館」となっています。

モネのコレクション以外に、ベルト・モリゾ、ルノワールなど日本でも人気のある画家の作品が多数所蔵されています。
まずは1~2Fのそちらを一巡りして、いよいよメインの地下へ。

私の敬愛する画家の一人、クロード・モネ。
彼は本当に、天才だと思います。
光と水の魔術師。

モネといえば、きっと真っ先に思い浮かべるのは「睡蓮」ですよね。
86歳まで生きたモネは多くの作品を生み出し、特に睡蓮は200点以上も描いたそうです。

やっぱりモネが好き。
この睡蓮の池に、いつまでもいつまでも浸っていたくなります

晩年モネは白内障を患い、混濁していく目で睡蓮を描き続けました。
視力を失っていく不安との闘いと、睡蓮への愛。
その葛藤が痛いくらいに伝わってきます。

睡蓮の形が溶けて、最早何を描いたのか分からないキャンパスは、まるで色彩の絨毯。
もう色も形も見えないモネは、パレットに置いてある絵の具の順番を頼りに、色を選んでいたのだとか。

それでも繰り返し塗り重ねられた絵の具の層や、力強く生気に満ちた筆遣いは、光を失った80歳の老人の作品とは思えません。
やっぱり、すごい。

オランジュリー美術館の大きな睡蓮も素敵だけど、マルモッタンの睡蓮にはまた違う魅力があります。

そしてモネフロアの一番奥で迎えてくれるのが「印象・日の出」。
約10年前、私が初めてパリに来た時にこの1枚と出会った感動がまざまざと蘇ります。
本物の感動は、決して色褪せることはないんだな。
太陽の鮮やかなオレンジ色が心に響いて、胸がいっぱい。
なんて美味しそうな、太陽

今でこそ有名ですが、発表当初はかなり酷評された絵です。
当時の批評家が侮蔑的な意味で「これは未完成、ただの印象を描いたに過ぎない」と言ったのが、後に「印象派」と呼ばれるようになった由来だとか。
何事も、新しい世界へ足を踏み入れるのは大変なことですね。

いつの間にかリニューアルしていたマルモッタン美術館。
内装がかなり変わっていて驚きました。
もうすぐコローの特別展が始まるらしく、それも見たかったなぁ。

ラ・ミュエット駅から美術館の間にある、ラヌラグ庭園の並木道。
パリらしい景色です。

ラヌラグ庭園の中には、童話作家ラ・フォンテーヌの像が佇んでいます。
彼が書いた、こんな寓話をご存知でしょうか。

ある森の中、キツネはカラスがくわえたチーズが欲しくてたまらない。
そこでカラスを誉めたてる。
「なんて男っぷりがいいんでしょう」
有頂天になるカラスに、キツネはもう一言。
「もしあなたの歌がうまければ、それこそ鳥の王様だ」
すっかり有頂天になったカラスが大きな口を開けたとたん、チーズは落ちてまんまとキツネのものとなる。

おべっかを言う人には気をつけろ、という含蓄のあるお話。
キツネとカラスと、フォンテーヌさんと。

ヤマザキパンで一休み。
ああ、ホッとするわぁ(笑)
パニーニとショコラショーで温まりました

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