ル・コルビュジエ

パリ中心部を離れ、コルビュジエを巡る旅へ。

ル・コルビュジエは主にフランスで活躍した建築家で、近代建築三大巨匠の一人。
「住宅は住むための機械である(Machine a habiter)」という思想のもと、鉄筋コンクリートを使った建築作品を数多く作り、今ではその多くが歴史的建造物として保護されています。

第1次世界大戦が終わり第2次世界大戦が始まるまで、パリ16区はコルビュジエを筆頭に建築的革命の舞台となりました。
多くの建築家が自身のスタイルを表現すべく、この地に自邸を設計。
16区にはこうしたアールデコ建築や、鉄筋コンクリートの採用によって新たな設計原理を確立させた象徴的な建築、更には近代建築への過渡期に現れた建築が集中しています。

まずはコルビュジエの作品であり、邸宅でもあるアパートを探しに行きました。
ポルト・デ・オートイユ駅からナンジェセール・エ・コリ通りへ。
合理的精神と芸術的創造力を結びつけ、大都市の制約を肯定的に捉えながら生活の質を高めようとし続けたコルビュジエの都市型集合住宅の代表作です。

彼は最上階の7~8階を自ら買い取り、30年間に渡りここで暮らしました。
コルビュジエの部屋は修復中のため入れませんでしたが、現在このアパートで暮らしている方がエレベーターホールのドローイングを見せてくれました。
コルビュジエ設計の家に住んでいるなんて、羨ましい

続いてスクワール・デュ・ドクトゥール・ブランシュの木立に囲まれた路地の奥に建つ「ラ・ロシュ邸」へ。
コルビュジエ35歳の作品、L字型の真っ白な家です。
黒い鉄扉のブザーを押して、お邪魔しまーす。

ピロティの上の広いギャラリーは、壁の曲面に沿ったスロープで3階と結ばれています。
絵画や家具もコルビュジエのデザインです。

ルイーズが座っているのはとんでもないお値段の椅子。
そしてスロープがかなり急な傾斜で怖い

彼はロシュ邸を設計する前年の1922年に《近代建築の5原則》を発表していて、この家にはピロティ、屋上庭園、自由な平面、帯状の窓、自由なファサードという5つのポイントが全て実現されているのです。

幾何学的で合理的な美を理想とする純粋主義を唱え、新しい時代の造形への意欲に溢れていたコルビュジエの純粋さが伝わってきます。

吹き抜けのホールに位置する渡り廊下や階段が、シンプルな箱形の空間に変化を与えています。

さすが座り心地は抜群

屋上からの景色

さて、最後はマレ・ステヴァンス。
マレ・ステヴァンス通りという袋小路に並ぶ、5棟の集合住宅を設計した建築家です。
一番手前に彼自身のアトリエと住居がありました。

直方体や円柱などの幾何学形態を組み合わせ、シンプルながら細部まで神経の行き届いた1927年のアール・デコ建築。

この辺りに並ぶ古典的で豪壮な建物の中で、若々しい信念に溢れた2人の建築家による作品はとても新鮮です。

歴史のある観光名所とはまた違った、とても楽しいパリ散歩となりました

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