親知らず物語

少し前のことですが、親知らずを2本、抜きました。
どちらも地中深く埋まった大物でした。
なかなかに大変な道のりだったので、その備忘録を綴っておきたいと思います。
これから抜く方がいらっしゃれば、ご参考にお読みいただけましたら幸いです。

 

※長文です。ご注意!!
※私個人の感想であり、痛みや症状は個体差があります。
※登場する人物・病院は、実在する人物・病院と何ら関係がありマス。固有名詞は伏せさせて頂きますのでご了承ください。
※自分のための備忘録です。面白くなくてもご容赦ください。

 

以上を踏まえ、親知らず物語の始まりです。
それではどうぞ~↓↓

 

【プロローグ】

そもそも私はこれまで親知らずについて気にしたことのない人生で、4本ご存命でした。

右の上下2本は真っ直ぐ生えていて、噛み合わせも悪くないので問題なし。
(ただどうしても磨きづらいのでいつか虫歯になったら抜きましょう、と歯医者さんに言われていた)

左の上下2本は完全に埋まっていて、一切の主張なし。
今回抜いたのは存在すら忘れていたこちらの2本です。
アンサンブルどころかアンダーキャストだったお二人が突然、W主演に抜擢され舞台の中央に躍り出たのでした。
これはその抜擢から引退までのシンデレラストーリーの軌跡です。

 

【第一章】~おじいちゃん先生~

始まりは2020年10月頭。
左上の親知らずがひょっこり顔を出し始めました。
舌で触れると先っちょが分かる程度。

そして徐々に痛み、そのうち左上だけでなく埋まったままの左下まで痛み出しました。
顔の左側が痛くて、鎮痛剤を飲まないと仕事ができないし、仕事中も次に鎮痛剤を飲める時間(4時間以上あけろとの注意書)を指折り数えるくらい痛い。

固形物が食べられず、食事は専ら柔らかいもの。お粥、豆腐、スープなど。
体力がなくなってヘロヘロ、体重も落ちる。
もはや丁寧語で語る余裕すらない。

 

幼少期よりお世話になっている地元の歯科にて、慣れ親しんだおじいちゃん先生に診て貰う。
ちなみにこの先生は私が小さい頃から既におじいちゃんで、昔は寡黙で厳しい顔つきの怖い怖い人だったのに、今は柔らかくなりお喋り好きで診察時間よりトークタイムのほうが長い。特にコロナの話題はノンストップ。本当に同一人物か。一体何があった。

レントゲンを撮ると、左の親知らず上下2本とも大きく深く根をはっていることが発覚。
親知らずは疲れやストレスが溜まると痛み出すとのこと。
確かにこの頃スケジュールがキツかった。
今後も忙しくなればまた痛むそうなので、抜歯を決意。

W主演のお二人が大物すぎて、おじいちゃん先生には抜けないとのことで、口腔外科を紹介される。
仲良しの歯科助手さんたちも皆そこで親知らずを抜いたそうで、口を揃えて別の歯科医を絶賛。それでいいのか、おじいちゃん先生。

その場でおじいちゃん先生が名医の病院に電話し、私の現状を説明してくれる。
しかして名医診察の予約がとれたのは1ヶ月後。
さすが名医、お忙しい。

抗生剤&胃薬、痛み止め、うがい薬を処方される。
うがい薬はコロナ対策としても効果があると、またもや話が止まらないおじいちゃん先生。
分かった、分かったよ、ちゃんとうがいするよ、次の患者さん待ちぼうけだよ、おじいちゃん。

 

抗生剤で痛みが落ち着き、2~3日で普通の食生活に戻る。
ああ、何を食べても美味しい。人間、食事は本当に大切。

パーソナルトレーナーの洋たんに痩せたことがすぐバレる。ごめんなさい。
体重はなかなか戻らず、あばら骨が浮き出るのでライブでは襟ぐりの詰まったドレスに変更。

 

【第二章】~名医~

1ヶ月後の11月頭、おじいちゃん先生からの紹介状を持って名医の元へ。
名医は初老の男性で優しい紳士。枯れ専の私向け。好き。
おじいちゃん先生と違い、必要な事のみ的確に話す。あと手がめっちゃ綺麗。指が長く骨がセクシーで、マウスを扱う手に見とれる。これがゴッドハンドか。この手に歯を抜かれるのか。萌。

ここでもレントゲンを撮り、W主演のお二人を確認。
左上は巨大すぎて、もしかしたら2本の歯がくっついているかも?
左下は深く埋まりすぎて、もしかしたら神経と繋がっているかも?

更に詳しく見たいとのことで、別病院にてCTを撮ってくるよう紹介状を渡される。たらい回しか。
CTは保険がきかず自費になるので、出費をひたすら心配してくれる優しい名医。ゆうて1万くらいでしょ?大丈夫ですよ、大人ですから。

 

【第三章】~CTと保険証~

約1週間後の11月半ば、CTを撮るための歯科へ向かう。
名医から預かった紹介状、地図、保険証など、必要な物をクリアファイルに入れて持参。
初めての場所なのでクリアファイルの地図を見ながら進む。

到着すると、クリアファイルの中に保険証が見当たらない。途中で落としたのか?
受付にてその旨を告げると、自費診療なので保険証は必要ありませんとのこと。
そりゃそうだ。何故持ってきた私。そして何故落とした。阿呆か。

ここの歯科は各治療分野の専門医がいて、最新の医療機器、科学的根拠のある数値データや専門分野に特化した検査・治療が可能だそう。ほほう。
ちなみに院長先生は歯科一般治療と咬み合わせ治療の担当なんですって。

CTを撮ると、左上は2つの歯ではなく巨大な1つの歯、左下はかろうじて神経とくっついていないことが判明。
名医の手前、治療法には口を出さず、現状のみを詳しく説明してくれる謙虚な院長先生。一見、我が強そうなのに(失礼)。
病院の紹介システムは、こうした配慮で成り立っているのね。

CTデータを入れたCD-ROMと、名医へのお手紙を受け取る。
費用は7,700円。思ったより安くて拍子抜け。

 

帰り道はひたすら保険証を探しながら歩くも見つからず、駅前の交番にて紛失届を出す。
誰かが拾って届けてくれれば…という願いは叶わず、1週間経っても見つからないので再発行を依頼。あー恥ずかし。

 

【第四章】~ブレイクタイム~

無事に新しい保険証が届き、名医を再受診したのが12月。
CTデータを確認し、抜歯の方針が決まる。
先に左下の親知らずを抜き、できればそのまま左上も抜く。
難しそうなら無理せずに、上の抜歯は後日にするそう。

いよいよ抜くのか~と思ったら、手術の予約が取れたのは3ヶ月後の翌年3月頭。
さすが名医、お忙しい(2回目)

ちょっとドキドキしながら平和な3ヶ月を過ごす。
周りの人たちに抜歯の体験談を聞きまくり、恐怖が増す。

 

【第五章】~抜歯~

2021年2月半ば、コロナ対策のため手術の2週間前から毎日体温を測り記録する。
検温の度に手術日が近づき緊張感が高まる。
仕事のスケジュールは、手術日含め3連休を取得。
今のうちに好きなものを好きなだけ食べておく。あと術後用に柔らかい食品を買い溜め。

 

そしていよいよ3月頭の手術当日。
指示通り昼食をしっかりとって早めに来院。
待合室で落ち着いて体調を整える時間が必要だそう。待ってるのドキドキ。

名前を呼ばれ、遂に診察室へ。まな板の鯉。もう逃げられない。
口だけ穴の開いた紙を顔に被せ、視界を塞がれる。
よろしくお願いします名医。あんまり痛くしないでネ。

まずは左下深くで真横に寝ている主役から。
表面麻酔の後、注射で歯茎を数ヶ所麻酔。
「ちょっとチクッとしますよー」と言われたが、ちょっとどころじゃない。超痛い。
歯茎を大きく切開している筈だが、感覚がないのでいつ切ったかよく分からない。
歯をぐいぐい押され、痛くはないけど結構しんどい。もう帰りたい。
頑張って耐えているうちに「抜けましたよー」と名医。え、そうなの?

続けて左上の巨人に取り掛かる。あ、今日いくのね。
また表面麻酔からの注射。痛すぎる。もう嫌だ。でも麻酔が効かないのはもっと嫌だ。
上の麻酔が効くのを待つ間に、下の歯茎を縫合する。

さてもう一人の主役の出番。
今度はぐいぐい押されるのに加え、ガンガン叩かれる。これが噂に聞くハンマーか。顎に響く。
上の歯のほうが苦戦しているらしく、下より時間がかかっている。もう帰りたい。
頑張って耐えているうちに「抜けましたよー」と名医。え、そうなの?(デジャブ)
縫合して終わり。

顔に被さっている紙を剥がされ、止血の綿を噛んだまま起き上がる。
結局一番痛かったのは麻酔の注射かもしれない。
手術時間は40分くらい。

 

ここでW主演のお二人と初めてご対面。
お二人とも血みどろで生まれたてホヤホヤ。お誕生日おめでとう。会えて嬉し…くはない、ごめん。
最初に抜いた下の主役は真っ二つに割れている。歯を切って二段階で抜いたんですって。へぇ。
上の主役はやはりとても大きい。どうやらハンマーで砕いた訳ではなく、叩いてズラしたようだ。根元が太くて大変だったと名医。お手数をおかけしました。
抜いた歯は本来、医療廃棄物として処分するそうだが、上の歯の巨大さは珍しいので病院で保管させて欲しいとのこと。どうぞどうぞ。光栄です。

名医が今後の注意事項を説明してくれる。
私は止血綿を噛んだままなので喋れず、ふんふん頷くだけ。
最後もお礼が言えない代わりに深々とお辞儀して、診察室を退出。感謝の言葉くらい伝えたかったよ…。

 

待合室でしばし待機、10分ほど経ってから洗面台にて自分で止血綿を取り出す。真っ赤。ひぃ。
軽くうがいをすると水も真っ赤。ひぃ。
鏡の中には片頬だけ大きく腫れた顔。ギャグ漫画っぽい。

抗生剤&胃薬、痛み止め、うがい薬、止血綿を処方される。
手術費用の負担額は7,390円、別途薬代が740円。保険ってすごいよね。

 

処方箋薬局のみ立ち寄り、指示通り真っ直ぐ帰宅。
麻酔が切れる時が一番痛いと聞いていたものの、そうでもない。というかずっとジンジンしていてよく分からない。
夕飯はお粥をほんのちょこっと口に運ぶ。小鳥か。
痛みで眠れない人もいるそうだが、疲れて8時間熟睡。ぐおー。

 

【第六章】~消毒~

抜歯翌日、頬はしっかり腫れている。痛みは思ったほど酷くない。まぁ痛いけど。
口に血が溜まるようなら止血を、とのことだったが、唾液に血が少し混じる程度。止血綿は使わず。
食事は柔らかいもの(お粥、豆腐、ポタージュなど)をゆーっくり食べる。
歯磨きはNG、うがい薬を使って軽くうがいするだけ。
今月〆切の衣装を縫いつつ自宅で過ごす。

 

抜歯翌々日、消毒のため口腔外科へ。
名医は今日も紳士。やっとお礼が言えた。
手術時に器具が当たって口の周りが少し傷ついていたので、軟膏を処方される。

 

どアップすっぴん、お許しください。
大ちゃんに「こぶとりかよちん」と呼ばれる。

 

【第七章】~仕事復帰~

あっという間に3連休が明け仕事復帰。
何とか笑顔で対応するが、喋るのツラい。
まともに食べられない状態での仕事はやはりキツかった。
連勤×帰宅後リモート会議が続き、あまりに疲れ果てて限界。泣けてくる。
体力が底をつくと、メンタルおばけの私でも精神面が参るわ。

患部の痛みに加え、頬の内側一面に口内炎が広がり痛すぎて地獄。
柔らかいものしか選んでいないのに、食事が苦痛で仕方ない。
水すら染みるし、口を動かす度に歯で口内炎を挟んでしまい激痛。
食べるの疲れるし時間かかるし痛いし、何とか食べ終わっても量が少ないのでお腹が空いている。どういうこと?
抜歯直後よりよっぽどシンドイ。

 

まだまだ腫れてます。

 

【第八章】~抜糸~

地獄の1週間を過ごした後、抜糸のために来院。
名医に「わぁ、すごい口内炎だねぇ」と感心されツンツンつつかれる。痛いって。

抜糸は油断していたがめちゃめちゃ痛い。
鋏で糸をパチンパチンと切りながら抜いていく。
何なら抜歯より痛い。涙が頬を伝う。
最近痛い思いしかしていない。
抜糸跡から溢れる血。いくらうがいしても赤い。いやん。

歯茎はまだ腫れているが、傷は順調に治ってきていると名医。 めっちゃ痛いけど、ホンマやな。信じるで。

 

しばらく食べられない日々が続き、抜歯から10日程経ってやっと普通の食事に戻る。
傷より口内炎のほうが辛かった。
毎食きちんと食べられるってなんて素晴らしいことなのだろうか。栄養とっていれば、仕事も余裕さ。
但し胃が小さくなっているので少量ご飯だけどね。

歯磨きは患部に触れないように、と言われていたのにウッカリ磨いてしまってめっちゃ血が出る。あわわ。

 

頬の腫れは大分引いてきた代わりに、内出血のような皮膚の変色あり。

 

【第九章】~経過観察~

抜歯から2週間(抜糸から1週間)後、再び口腔外科へ。
親知らず跡の穴がポッカリあいているので、そこに溜まる汚れを落とすための注射器を処方される。

 

注射器に細長い先っぽをくっつけて、水圧で汚れを押し流す感じ。けっこう楽しい。

 

変色位置が下がってきた。

 

この頃から食事もガンガン食べられるようになり、調子に乗って食べまくる。1人前を食べきれる幸せ。

 

仕事の合間にソロランチを満喫。

 

そして抜歯から1ヶ月、最後の名医診察。
歯茎にあいた穴も大分ふさがってきて、順調な回復具合とのこと。

名医とはここでお別れ。本当にお世話になりました。

 

腫れは殆ど引き、変色は首の方に少し残るくらい。

 

【第十章】~再びおじいちゃん先生~

4月半ば、名医からのお手紙を持参し久しぶりにおじいちゃん先生に会いに行く。
今日もイキイキとお喋りが止まらないおじいちゃん先生。お元気そうで何よりです。

おじいちゃん先生お得意の歯磨き指導を改めて受ける。磨き過ぎて歯の表面を傷つけないよう、毎回注意される。
おじいちゃん先生はなるべく歯を削らずに残す方針の良心的な歯科医さん。

前回から半年経っているので、歯石を取って貰う。数回に分けて歯石を取る歯科も多いが、ここでは一気に全部処置する。
特に親知らず付近の歯は、歯磨き禁止の期間があったので汚れが溜まっていたらしい。スッキリ。これで親知らず関連の通院は終了。

 

【エピローグ】

昨年秋に痛み出してから半年、長かった…。
自分、お疲れ様でした。
おじいちゃん先生、名医、CT先生、歯科助手の皆さま、本当にお世話になりました。
そしてこんなにも長ったらしい備忘録にお付き合いくださいましたそこのアナタ、ご清聴ありがとうございました!!

一番辛かったのはやっぱり食べられなかったことかな。体重はまだ戻っていません。
右の上下の親知らずは今もご健在なので、いつか抜くことになるのだろうか。恐ろしや。

皆さまももし親知らずを抜歯することになったら、どうぞ頑張ってください。
この記録が少しでもお役に立てば幸いです。

 

ちゃんちゃん。

 

 

 

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